
ちょっと深く楽しむ、古美術
―坦庵さんの刀剣から白隠さんの書画まで―

伊豆の人々から親しみを込めて「坦庵(たんなん)さん」と呼ばれるのは、伊豆の代官を務めた江川太郎左衛門英龍(ひでたつ)(1801–1855)です。幕末期に黒船来航の脅威をうけ、日本の海防に尽力しました。多忙な政務の合間に詩や書画に遊び、多彩な作品を遺しています。実は坦庵さん、反射炉(大砲鋳造のための溶鉱炉)建造に際し、いにしえより続く日本刀鍛錬で培われた鉄への知見を活かしています。今回は坦庵が弟子入りした刀工・大慶直胤(たいけい なおたね)からの書状や、自ら鍛刀した短刀などもあわせてご紹介します。
「白隠(はくいん)さん」こと白隠慧鶴(えかく)(1685–1768)は、「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」と謳われた名僧です。禅の教えを分かりやすく伝えるため絵と賛(言葉)を組み合わせ、伊豆にも多くの書画が遺されています。
また、近年の研究で上杉家旧蔵品と明らかとなった能面や面箪笥、人気の刀剣火車切や蜻蛉切などもご紹介します。新たな情報も交え、ちょっと深く、楽しく、ご覧ください。
概要
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入館料
一般・大学生1,300円 小・中・高校生650円
※土曜日は小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
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前売券(11月15日まで)
一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
販売所:
〇佐野美術館
〇セブン-イレブン(チケットぴあ/Pコード:687-331)
〇ファミリーマート(CNプレイガイド[マルチコピー機]にて直接ご購入ください) -
当日割引券(展覧会会期中)
一般・大学生1,170円 小・中・高校生590円
販売所:
○伊豆箱根鉄道駿豆線有人駅
〇セブン-イレブン(チケットぴあ/Pコード:687-331)
〇ファミリーマート(CNプレイガイド[マルチコピー機]にて直接ご購入ください) -
開館時間
10:00 - 17:00(入館の受付は16:30まで) -
休館日
木曜日 -
主催
佐野美術館、三島市、三島市教育委員会 -
後援
静岡県教育委員会 -
助成
緒明合資会社 -
協賛
伊豆箱根鉄道株式会社
主な出品作品

重要美術品 脇指 銘 相模国住人広光/康安二年十月日〈号 火車切〉 南北朝時代 佐野美術館蔵

重要美術品 太刀 銘 雲生 鎌倉時代(13世紀) 佐野美術館蔵

大笹穂槍 銘 藤原正真作〈号 蜻蛉切〉 室町時代(16世紀) 個人蔵

脇指 銘 大慶直胤(花押) 彫 本城義胤/文化十一年十一月日 応小原久保之需作之 文化11年(1814) 個人蔵

白隠慧鶴《達磨図》 元文-寛延(1736-1750)頃 佐野美術館蔵

白隠慧鶴《七福神図》 延享-宝暦前期(1744-1753)頃 佐野美術館蔵

白隠慧鶴《墨蹟 坐禅和賛》 元文-寛保(1736-1743)頃 佐野美術館蔵

葛飾北斎《着衣鬼図》 嘉永元年(1848) 佐野美術館蔵

江川坦庵《渓山訪友図》 嘉永4年(1851) 佐野美術館蔵

能面 真怪士 桃山時代(16世紀) 佐野美術館蔵
関連イベント
職人の技実演
2025.11.30 Sun 10:00–15:00
日本刀製作には、刀身を美しく研ぎ上げる研師、刀剣に合わせて鞘を造る鞘師、刀剣の柄を装飾する柄巻師など、多くの職人の技が不可欠です。本イベントは、その技の一部を間近でご覧いただく貴重な機会です。
主催:佐野美術館、静岡県博物館協会
日本家屋で作品鑑賞
隆泉苑は昭和10年頃(1935)に完成した日本家屋で、平成9年(1997)に国の登録有形文化財となりました。普段は非公開の隆泉苑の床の間に、当館収蔵作品からみなさまにぜひご紹介したい作品を飾ってお待ちしております。作品鑑賞のあとは、甘いお菓子とお抹茶をご用意しております。お気軽にお越しください。
日本刀を持ってみよう
2025.12.13 Sat 15:00–16:30
何百年もの間、大切にされてきた日本刀を、作法にのっとって鑑賞する、初心者対象の講座です。静かな気持ちで刀工の魂に思いを馳せるひとときをお楽しみいただけます。
佐野美術館収蔵の日本刀に触れることのできるこの機会を、お見逃しなく。