- 日本
- 江戸時代(17世紀)
- 木造彩色
- 1面
- 面長 21.5 cm 面巾 13.5 cm 面奥 7.7 cm
- 「小」は可愛らしい、美しいことを意味し、最も若い女性の面を表わす。頬のふっくらとした面立ちに切れ長の目元。若々しさのなかにも豊艶な香りをただよわす。付属の面袋に『新古今和歌集』所収の藤原定家の和歌一首が刺繍され、藤原定家と式子内親王との忍ぶ恋を題材とした演目『定家』に用いられたと思われる。
- 日本
- 江戸時代(17世紀)
- 木造彩色
- 1面
- 面長 20.5 cm 面巾 14.6 cm 面奥 7.9 cm
- 切能物『山姥』の専用面。能における山姥は、恐ろしい鬼ではなく、煩悩を超え悟りを開くことの難しさに苦しむ、仏教的摂理の象徴として描かれる。髪は黒白の混ぜ描き、野性的な相貌、皺がなく艶のある肌、口は大きく開かれる。目に嵌められた金銅環は、人間を超越した存在を表わしている。面裏の額右上に文字を刻むが判読できない。
- 河内大掾家重
(かわちだいじょういえしげ)
- 日本
- 江戸時代(17世紀)
- 木造彩色
- 1面
- 面長 20.0 cm 面巾 14.5 cm 面奥 8.1 cm
- 『邯鄲』の専用面。中国の青年盧生は人生に悩みを抱いていたが、一碗の飯を炊く間に人生の栄枯を体験する夢を見、人生のはかなさを悟る。皺を刻む眉根に濃い髭、丸みのある顔。現実に思い悩む顔と悟りを得たあとの晴れやかな顔、夢の前後の変化を一つの面で表わすので、男面では最も中間的な表情をもつ。
- 日本
- 桃山時代(16世紀)
- 木造彩色
- 1面
- 面長 21.2 cm 面巾 15.7 cm 面奥 8.9 cm
- 能楽を大成した世阿弥(1363~1443)の『申楽談義』によると、大飛出は怨霊となった菅原道真が怒り、柘榴を口から吐き出した時の顔と伝えられる。雷として豊作の徴をとどろかし(『加茂』)、天武天皇の時代が来ることを祝して天女と舞う(『国栖』)など、雷神、天上の神、蔵王権現の面として用いられる。金泥に彩られた顔、大きく見開いた眼には金銅環を嵌める。カッと開いた口、歯にも金泥が施され、絶大な神威を放っている。
- 日本
- 江戸時代(18世紀)
- 木造彩色
- 1面
- 面長 18.8 cm 面巾 15.0 cm 面奥 10.3 cm
- 鵜のくちばしは別立てで木螺子で繋ぐ。能曲『江野島』に鵜の精、『白髭』に鮒の精が登場する。ともに見た目の面白さや舞台上の華やかな演出を中心とした風流能に分類される。また、明治維新で絶えた鷺流で使われていたとも考えられる。鷺流は室町初期の路阿弥が流祖とされ、江戸時代に観世座付で幕府に召抱えられた。本作の成立と鷺流との関連性については今後の研究が待たれる。
- 日本
- 江戸時代(18世紀)
- 木造彩色
- 1面
- 面長 18.8 cm 面巾 15.0 cm 面奥 10.3 cm
- 眼光鋭く精悍な趣だが、正面顔は大変ユーモラス。能曲『白髭』に登場する鮒の精に使われたのだろうか。明治維新で絶えた鷺流で使われていたとも考えられ、その関係について今後の研究が待たれる。