- 重要文化財
- 日本
- 平安時代(12世紀)
- 木造漆箔
- 1躯
- 高 92.2 cm
- 大日如来は、密教で世界の中心にいると考えられている仏である。その世界の表現方法として、全体の仕組みを表す「金剛界」と、構成する仏たちの役割を示す「胎蔵界」とがあり、それぞれ仏の形が少しずつ異なる。この像は左人差し指を右手で握る智拳印を結び、金剛界の大日如来である。半眼で穏やかな表情、丸みを帯び均整のとれた体躯、このような仏像の姿を「定朝様式」といい、平安時代に都を中心に流行した。本像は大阪府河内長野市の河合寺にあったもので、周辺地域にも都の流行が伝わっていたことがわかる。
- 重要美術品
- 日本
- 平安時代(12世紀)
- 木造彩色
- 1躯
- 高 113.0 cm
- 蔵王権現は紀伊半島吉野山中の金峯山の主神として、平安時代中ごろから修験道の礼拝の対象とされてきた。「権現」とは仏が仮の姿となって現れることで、当時蔵王権現は、釈迦や弥勒などの仏の力を兼ね備えた絶大な霊験を持つと信じられていた。この像は、檜の一木から両腕以外の本体と足元の岩を丸彫りしている。目を怒らせ、炎髪を逆立て、左手を腰に右手を大きく振り上げ、右足を上げて勇躍する蔵王権現の典型である。衣文なども細かく彫らず、刀の跡が残るような素朴な力強い造りであり、この像の持つ霊力を最大限に表現しようとした信仰が見て取れる。大日如来坐像とともに大阪河合寺に伝わった。
- 竹内久一(たけうちひさかず)
- 1857~1916
- 日本
- 制作年不詳
- 木造一部彩色
- 1躯
- 高 31.7 cm
- 竹内久一は、江戸浅草生まれ。初め象牙彫刻を生業としたが、奈良興福寺の古仏に感銘を受けて彫刻家加納鉄哉に師事、木彫を志した。美術界の重鎮岡倉天心の知遇を得て古社寺調査に加わるなど研鑽を積み、東京美術学校(現東京藝術大学)彫刻科教授となった。明治26年シカゴ・コロンブス世界博覧会に大作「技芸天」を出品、彩色彫刻の第一人者として、同39年には帝室技芸員になった。この小彫刻は、彩色を得意とした久一の、珍しくほぼ素地仕上げの作品である。彩色は目元と口元、腰に佩いた太刀にわずかにみられるだけで、彫技の確かさを見せどころとしている。平成10年、森岡敬一郎氏寄贈。
- 澤田政廣(さわだせいこう)
- 1894~1988
- 日本
- 昭和33年(1958)
- 木造彩色
- 1躯
- 高 147 cm
- 澤田政廣は静岡県熱海生まれ。木彫家山本瑞雲に師事、神話や伝説に取材した詩情豊かな作品で帝展、日展で活躍、日本の木彫界に新風を送り続けた。日展顧問、文化勲章受章。
澤田政廣の第1回新日展出品。レダはギリシャ神話に登場する女性で、白鳥に姿を変えた大神ゼウスとの間に3人の子をもうけた。西洋神話の世界と日本古来の木彫とを組み合わせて、独特の世界を創り出している。本体と台までを樟の一材から彫り出した力作で、全体を神々しく金色で彩色している。神の世界を重厚に表現した傑作である。