花のお江戸の雛飾り
極小美の世界
平成27年2月21日(土)~平成27年4月5日(日)
高さ10㎝ほどの愛らしい内裏雛、精巧な蒔絵がほどこされた極小の雛道具。
このたび佐野美術館に新しく収蔵された雛飾りは、もと江戸八丁堀の与力、仁杉(ひとすぎ)家に伝わったもので、明治に入って人手を転々とし、一時は「わかもと」創業家の長尾よねの鎌倉美術館に飾られていました。その後アメリカのコレクターの手に渡り、近年日本に買い戻されたのです。
内裏雛は公家の装束を写した有職(ゆうそく)雛。京都への注文品であろうこの雛は、やさしく気品あるお顔が魅力です。細緻な技を駆使した雛道具には、特注品と思われるものも多々あり、中には上野池之端の七澤屋(ななさわや)の超高級品も多く含まれています。
さらに雛道具として珍しいのは、実際に動く櫓(やぐら)時計です。錘を掛けると、時計上部の点鐘がかすかにチンと鳴って時を刻み始めます。
雅な世界と精巧な江戸の職人技、粋を極めた極小の美をご堪能ください。