(2016年度)
銅版画家・浜口陽三
やわらかな闇の中で
浜口陽三(はまぐち ようぞう)は日本を代表する銅版画家です。さくらんぼやてんとう虫などの小さなモチーフが、やわらかな闇に包まれて、静かな時間を刻んでいます。
21歳のときに東京美術学校を中退しパリに渡りますが、第二次世界大戦の開戦を受け帰国。戦後、病気療養の為に静岡県の伊豆半島にある蓮台寺(れんだいじ)温泉に2年程滞在し、その飾らない人柄で地元の人々と親しく交流しました。
その後1953年に再びパリへ渡り、創造的な作品を生み出す技法としてのカラーメゾチントを完成させ、独自の世界を開拓しました。
本展では、近年生家より発見された尋常小学校時代のスケッチや、30代から40代にかけて様々な表現を模索していた頃の油彩画をはじめ、カラーメゾチントの代表作「さくらんぼと青い鉢」「22のさくらんぼ」など約70点でその画業を振り返ります。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※毎週土曜日・5月5日(木・祝)小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 |
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日本近代洋画の巨匠 和田英作展
こころの情を描く
和田英作(わだ えいさく)(1874~1959)は、近代日本の絵画史上に大きな足跡を残した洋画家です。
和田は明治7年鹿児島県垂水(たるみず)村(現垂水市)に生まれ、明治27年に黒田清輝(くろだ せいき)の画塾に入門、東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業しました。フランス留学から帰国後、東京美術学校教授(のち校長)に就任、多くの後進を育て、昭和18年(1943)に文化勲章を受章しました。
和田は多くの公務を担いながらも、制作にかける時間を大事にしました。ものの質感やモデルの生き方をも伝える描写力と、自然の光や影の移ろいをとらえる繊細な感覚を発揮して、数々の名作を生み出しました。
和田がとくに心惹かれた題材は富士山でした。昭和26年(1951)より静岡県清水(しみず)市(現静岡市清水区)三保に移住、84歳でこの世を去るまで、日々刻々と変化する富士山を描き続けました。
このたびゆかりの静岡の地において、修業期から最晩年までの代表作約80点による回顧展を開催します。教育者と画家の双方から、日本洋画の礎造りに尽力した和田の70年に及ぶ画業をたどります。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※8月1日(月)は入館無料(創立者・佐野隆一翁生誕日) ※毎週土曜日小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 |
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杉山明博 造形の世界
触れると優しく温かく、時に強靭であり、また柔らかくもある、多彩な表情をもつ「木」。たくさんある木の中からそれぞれの特色を読み取り、様々な造形を試みる作家、杉山明博の世界を紹介します。
長く学びと創造の研究に携わってきた杉山は、実際に手でかたちに触れて造ることの中から形成される、デザインの発想や創造性により作品を造り続けてきました。その中には、日常慣れ親しんだ「あかり」の造形や、日本美をあらわした「つなぎ」「くずし」といった型の造形化など、意味をかたちにしたものが少なくありません。また、鳥や動物など親しみやすいかたちの中にも、あっと驚くような仕掛けがたくさんあり、次々展開される杉山ワールドに大人も子どもも引き込まれていくことでしょう。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※9月19日(月・祝)敬老の日は65歳以上無料 ※毎週土曜日は小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 ※8月21日(日)は1割引(県民の日) |
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横山大観 大気を描く
近代日本画の巨匠・横山大観(よこやま たいかん)(1868~1958)の展覧会を開催します。
大観は明治元年、茨城県に水戸藩士の子として生まれました。22年に東京美術学校(現東京藝術大学)に入学、校長岡倉天心(おかくら てんしん)や狩野派の画家・橋本雅邦(はしもと がほう)らの教えを受けました。のちに日本美術院の創設に参加、新しい日本画の創造に取り組みました。線を使わず絵具の濃淡で空気や光の表現を試み「朦朧体(もうろうたい)」と批判されましたが、やがて日本の湿潤な大気や四季のうつろいを表すのに最もふさわしい画法へ深めていきました。そして大正3年(1914)に再興された日本美術院で独創性豊かな作品を次々と発表、昭和12年(1937)文化勲章を受章しました。
大観が最も多く題材としたのは富士山でした。千変万化しながら永遠の美しさを魅せる富士の姿を日本人の魂の象徴として、そこに自身が理想とする芸術の極みを重ね、昭和33年に89歳で生涯を閉じるまで、2000点におよぶ富士を描きました。
このたび、昭和20年(1945)から29年にかけて大観が熱海の伊豆山に住んでいたことから当地ゆかりの画家として、また大観の愛した富士を仰ぐ静岡の地における回顧展を開催いたします。修業期から晩年まで、富士をはじめ風景画や花鳥画を中心とした代表作約60点により、つねに芸術の高みを求めて、たゆまず挑み続けた70年の画業をたどります。
※会期中一部展示替えがあります。
※本展チケット(有料)半券のご提示で、会期中2回目以降の入館料を2割引します。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※毎週土曜日小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 ※本展チケット(有料)半券のご提示で、会期中2回目以降の入館料2割引。 |
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名刀は語る 磨きの文化
名刀が美しい輝きを放っているのは、鍛刀されてから今日に至るまでの数百年の間、絶えず磨き続けてきた人々がいたからです。この間、名刀は多くの人の手に渡り、それにふさわしい多くの物語が生まれました。「磨く」ことで輝きを得る刀と、名刀を持つことでそれに相応しい己になるべく自己を「磨く」人々がいたのです。
本展では日本人が培ってきた、磨くことによって素材の美しさを引き出す文化をテーマに、刀剣をはじめ、拵(こしらえ)に使用される金工技法や漆工技法も含めご紹介します。
※前期(11月12日~12月23日)・後期(1月7日~2月19日)で作品を一部入れ替えます。
主な出品作品
■重要文化財 秋草文黒漆太刀拵 室町時代 中 太刀 銘 豊後国行平作 鎌倉時代
前期展示[11月12日~12月23日]
■国宝 薙刀 銘 備前国長船住人長光造 鎌倉時代
■重要文化財 刀 無銘 正宗 鎌倉時代
■重要文化財 刀 金象嵌銘 備前国兼光/本阿弥(花押)〈名物 大兼光〉南北朝時代
■重要美術品 脇指 銘 相模国住人広光/康安二年十月日〈号 火車切〉南北朝時代 付 黒漆塗小サ刀拵 室町時代
後期展示[1月7日~2月19日]
■国宝 太刀 銘 一 鎌倉時代 個人蔵
■重要文化財 短刀 銘 国光 鎌倉時代 付 金梨子地葵紋蒔絵合口拵 江戸時代
■重要文化財 刀 朱銘 義弘/本阿(花押)〈名物 松井江〉鎌倉時代
■重要文化財 沈金獅子牡丹文長覆輪太刀拵 室町時代 個人蔵
■重要美術品 太刀 銘 来国俊 鎌倉時代
など、国宝重要文化財11点を含む約80点。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※毎週土曜日小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 ※本展チケット(有料)半券のご提示で、会期中2回目以降の入館料2割引 |
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佐野美術館のおひなさま
大きな雛人形と小さな雛道具
女の子の健やかな成長を願っておこなわれる雛祭りは、平安時代の人形遊びなどに端を発し、江戸時代には雅な雛人形や細緻な蒔絵の雛道具を豪華に飾る形に発展しました。
恒例となりました「佐野美術館のおひなさま」展、今回は“大きな雛人形”と“小さな雛道具”を展示、多様な雛飾りをお楽しみいただきます。大きな雛人形は、江戸時代の名工・二代原舟月(はらしゅうげつ)作、高さ50センチ余りの内裏雛・五人囃子・随身の揃いを展示します。また雛道具研究家・川内由美子コレクションより、七澤(ななさわ)屋製を始めとする数千点にのぼる極小の雛飾りを展示します。
あわせて八丁堀の名物と謳(うた)われた仁杉(ひとすぎ)家旧蔵の雛飾り、家一軒より高価と伝わる大正時代の御殿飾り、江戸時代中期に流行した享保雛など、佐野美術館所蔵・寄託の雛人形と、御所人形、嵯峨人形など日本の人形を展示します。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※毎週土曜日小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 |
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