(2019年度)
受贈記念 吉澤章 創作折り紙の世界
生き生きとした命を宿す鳥や動物、恐竜、そのいずれもが一枚の紙から生み出されました。吉澤章は折り紙を世界に「ORIGAMI」として広めた第一人者であり、生涯をかけてその表現の可能性を探求した創作折り紙作家です。花や虫など身近なモチーフをはじめ、人間の感情や折り線の面白さを追求した抽象表現など、手掛けたテーマは多岐にわたります。「作品は我が子同然」と語った吉澤の創作への情熱は、対象を深く理解し美の本質を形にした作品に息づいています。
近年寄贈された貴重な作品の他、当館初公開のモビールなど約600点の吉澤章が折り上げた世界をお楽しみください。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※毎週土曜日、5月5日(日・祝)は小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 |
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金魚絵師 深堀隆介展
平成しんちう屋 ~行商編~
金魚の持つ神秘性に魅了され、創作を続ける深堀隆介(ふかほりりゅうすけ)。深堀は透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描くという斬新な手法で注目を集める若手の現代美術家です。
愛知県立芸術大学を卒業後、ディスプレイ会社に勤務するも退職。本格的に創作活動を開始し、絵画と立体を並行して様々な作品を制作していきます。しかし、次第に自分が何をすべきか悩み自信を失いかけていた頃、金魚を描くきっかけとなる転機が訪れます。7年間放置していた水槽で生き続ける金魚の存在。その美しさに気づき衝動を覚えたのです。金魚に救われたこの出来事を「金魚救い」と呼び、その後、金魚に自身を重ね、表現を追究してきました。
極めて独創的な深堀の技法は、器の中に樹脂を流し込み、その表面にアクリル絵具で金魚を部分的に描きます。さらにその上から樹脂を流し込み重ねて描く。その作業を繰り返すことにより、絵が重なり合い、描かれた金魚がまるで生きているかのように圧倒的な立体感をもって観るものに迫ります。その生き生きとしたリアリティは平面である絵画作品と立体作品の境界に揺さぶりをかける革命的絵画-2.5D Painting-と言えるでしょう。こうした一連の金魚作品は国内はもとより今や世界的に高い評価を受け、近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れ、ますます表現の幅を広げています。
本展では、初期の立体作品から最新作インスタレーション《平成しんちう屋》を含む代表作約200点により、深堀隆介の創作世界を紹介します。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※8月1日(木)は入館無料(創立者・佐野隆一翁生誕日) ※毎週土曜日は小中学生無料 ※8月21日(水)は1割引(県民の日) ※15名以上の団体は各2割引 |
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光ミュージアム所蔵
美を競う 肉筆浮世絵の世界
日本独自の芸術として開花した浮世絵は、多色摺木版画の錦絵が広く知られていますが、肉筆浮世絵(にくひつうきよえ)は絵師が直接筆をとって、絹や紙に描いたものです。美人画が多く、切れ長の瞳、繊細な髪すじ、華やかな衣装の文様などに、絵師の確かな技と丹念な彩色を見ることができます。
光ミュージアム(岐阜県高山市)が所蔵する肉筆浮世絵は、約420点からなる一大コレクションです。江戸で人気の浮世絵師をはじめ、京都や大坂などの上方で活躍した絵師や、現存作の少ない絵師の作品も含まれており、これまで大規模に公開される機会はありませんでした。
このたび、膨大なコレクションから厳選した111点を初めて一挙公開し、江戸時代中期(17世紀)から明治時代(19世紀)に至る浮世絵の流れを概観いたします。この機会に是非ご覧下さい。
※会期中一部展示替えがあります(前期:9月7日~10月2日、後期:10月4日~27日)
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※毎週土曜日は小中学生無料 ※9月16日(月・祝)敬老の日は65歳以上無料 ※15名以上の団体は各2割引 ※本展チケット(有料)半券のご提示で、会期中2回目以降の入館料2割引 |
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ヒグチユウコ展 CIRCUS
THE CIRCUS IS COMING TO TOWN!
空想と現実を行き交う自由な発想とタッチで、作品制作のみならず絵本の刊行など幅広い活動をみせる画家ヒグチユウコ。
本展では、自身初となる大規模個展として、約20年の画業の中で描かれた500点を超える作品を公開します。
ヒグチユウコが描く猫や少女、キノコ、この世ならぬ不思議ないきものたちが繰り広げる、楽しくもどこか切ないサーカス(CIRCUS)の世界をお楽しみください。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※土曜日は小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 |
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名刀への道
日本刀が完成したのは、平安時代後期と考えられています。この時代は刀剣だけでなく、日本の自然を描いたやまと絵、貴族文化を反映した和様彫刻、かな文字で編まれた物語など、様々な分野で日本独自の表現が生まれ、国内に広まっていきました。新しいものを生み出す時代の空気が、大陸からもたらされた直刀から脱し、反りや鎬(しのぎ)といった特徴を持つ日本刀の誕生に一役買ったのかもしれません。
日本刀誕生期には、伯耆(ほうき)の安綱(やすつな)、豊後(ぶんご)の行平(ゆきひら)、備前の包平(かねひら)などの名だたる刀工が活躍しました。それらの刀剣には、誕生間もない時代特有の力強さが溢れ、今でも多くの人々を惹きつけています。本展ではこれらの名工が活躍した平安時代後期から鎌倉時代にかけての刀剣を中心にご覧いただきます。
また、12世紀以前に日本で造られていた刀剣はどのようなものだったのか。直刀や蕨手(わらびて)刀といった現存する刀剣をもとに概観し、日本刀誕生までの道のりをご紹介します。
【主な出品作品】
■直刀 伝石上神宮禁足地出土 個人蔵
■重要文化財 黒漆剣(刀身) 平安時代(9世紀) 鞍馬寺蔵
■国宝 太刀 銘 正恒 平安時代(12世紀) 国(文化庁保管)
■重要文化財 太刀 銘 成高 平安時代(12世紀) 京都国立博物館蔵
■重要美術品 太刀 銘 包平 平安時代(12世紀) 個人蔵
■重要文化財 太刀 銘 豊後国行平作 平安~鎌倉時代(12~13世紀) 佐野美術館蔵
■太刀 銘 閼寂 鎌倉時代(12世紀) 中鉢美術館蔵(展示期間:2020年1月7日[火]~2月5日[水])
■重要文化財 太刀 銘 吉家作 鎌倉時代(13世紀) 京都国立博物館蔵
■太刀 銘 月山 鎌倉時代(13世紀) 個人蔵
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 |
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人形の美 語りかけるひとがた
艶やかな肌の御所人形、ちろりと舌がのぞく首振りの嵯峨人形、幼子の面影を映した抱き人形…江戸から明治時代にかけて、日本中で愛されてきた人形たち。このたび佐野美術館に、日本の古人形を中心とした人形コレクション約200点が寄贈されました。
これらの愛すべき人形たちを蒐集したのは、静岡の彫刻家・前島秀章(まえじま ひであき)氏夫妻です。
前島氏は「人形(ひとがた)」に、命の尊さと人体の神秘を見、古来人形に込められた日本人の魂を自らの創作の師としてきました。美しく愛らしいだけではない、見る者の心に訴えかけてくる日本の人形たち。その独特な造形美をご堪能いただきます。
本コレクションには、近代日本を代表する人形作家・平田郷陽(ひらた ごうよう)の作品や、ヨーロッパの著名な工房によるアンティーク・ドールなども数多く含まれます。
古今東西、大切に伝えられてきた人形たちの競演をお楽しみください。
入 館 料 | 一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円 ※土曜日は小中学生無料 ※15名以上の団体は各2割引 |
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