佐野美術館所蔵・寄託の刀剣より、国宝の長光の薙刀をはじめ、重要文化財の名物 松井江や、天下三名槍のひとつ蜻蛉切など約5点を特別展示します。
名刀への道
日本刀が完成したのは、平安時代後期と考えられています。この時代は刀剣だけでなく、日本の自然を描いたやまと絵、貴族文化を反映した和様彫刻、かな文字で編まれた物語など、様々な分野で日本独自の表現が生まれ、国内に広まっていきました。新しいものを生み出す時代の空気が、大陸からもたらされた直刀から脱し、反りや鎬(しのぎ)といった特徴を持つ日本刀の誕生に一役買ったのかもしれません。
日本刀誕生期には、伯耆(ほうき)の安綱(やすつな)、豊後(ぶんご)の行平(ゆきひら)、備前の包平(かねひら)などの名だたる刀工が活躍しました。それらの刀剣には、誕生間もない時代特有の力強さが溢れ、今でも多くの人々を惹きつけています。本展ではこれらの名工が活躍した平安時代後期から鎌倉時代にかけての刀剣を中心にご覧いただきます。
また、12世紀以前に日本で造られていた刀剣はどのようなものだったのか。直刀や蕨手(わらびて)刀といった現存する刀剣をもとに概観し、日本刀誕生までの道のりをご紹介します。
【主な出品作品】
■直刀 伝石上神宮禁足地出土 個人蔵
■重要文化財 黒漆剣(刀身) 平安時代(9世紀) 鞍馬寺蔵
■国宝 太刀 銘 正恒 平安時代(12世紀) 国(文化庁保管)
■重要文化財 太刀 銘 成高 平安時代(12世紀) 京都国立博物館蔵
■重要美術品 太刀 銘 包平 平安時代(12世紀) 個人蔵
■重要文化財 太刀 銘 豊後国行平作 平安~鎌倉時代(12~13世紀) 佐野美術館蔵
■太刀 銘 閼寂 鎌倉時代(12世紀) 中鉢美術館蔵(展示期間:2020年1月7日[火]~2月5日[水])
■重要文化財 太刀 銘 吉家作 鎌倉時代(13世紀) 京都国立博物館蔵
■太刀 銘 月山 鎌倉時代(13世紀) 個人蔵